交換
「クルツと交換で、ある場所に連れて行って欲しい人がいます」
「・・・」
「相良軍曹あなたとは長く関わりがありましたね。深く感謝します。こんなことを頼めるのは、心からの信頼があるからなのですが、私を交換人として連れて行ってください」
「それは・・・」
「クルツをこの計画に参加させたときに、心に決めた事があります。けして死人は出さないと誓ったのです・・・私は沢山の命を預かっています。ですから、今は命を落とせないのです。相良軍曹お願いします」とテッサは頭を下げた。
すると、かなめがテッサに呼ばれて来ていたかのようだったが、
「宗介・・あたし・・クルツがいない世界は考えられないよ!あたしも一緒に行く」と叫んだ。
かなめの危険を考えると、連れて行くのには抵抗があった。だがしかし、かなめの気持ちを考えると無に出来なかった。
マデューカス中佐が「安心してください。交換はさせません。この艦隊が付いている限り考え付くあらゆる事をして、艦長とクルツは勿論相良軍曹、かなめさんを守ります」と力強い声を張り上げた。
「分かりました。クルツのことを考えると今すぐでも出発しましょう」と宗介は言った。
クルツが捕らえられているその場所は崖の上に立つ要塞だった。
「こんな所に・・・」と宗介が声を出した。
「クルツが危険を冒してでも探り当てた場所なのです」
「そうすると、テッサ艦長と飛ぶしかありませんね」
「ええ、私が相良軍曹に繋がれて飛ぶ覚悟は出来ています」
かなめは搾り出すような声を出した。
「ぎりぎり行ける場所で待機する。電波は使えないと思うからテッサと共振で連絡を取り合うつもり」
テッサはかなめを見つめ
「大丈夫・・きっと私達上手く連絡が取れます」と力強い声を出した。
ASオペレーターの中にメリッサ・マオの顔もあった。
クルツ・ウエーバー待っていて・・・と心の中で叫んでいた。
交換する日時の前にこの作戦を成功させなければならなかった。
だが時間がなかった。
落ち着け。
クルツは生きて連れ帰る!
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