『ウラハラ』



会いたい
好きだ
側にいて欲しい
ずっと一緒にいたい

素直に気持ちを伝える事が出来たならどれだけ楽だろう。




――― 宗介Side ―――



「あんた、今日の夜は暇?」

いつものように君は俺を誘ってくれる。

俺はいつもの通りそっけなく「暇だが?」と返事をする。

「じゃ、夕飯食べに来ない?」

っと君はいつもの口調で言う。
本当は君がいつも誘ってくれるのを俺は待っている。
そんな思いを隠して俺はまた「いいのか?」っと嬉しい気持ちを隠して冷静に返事をする。

「じゃ、18時半に来てよ。用意して待ってるから。」

その言葉に「わかった。」っと俺は返事をする。


俺が君に夕飯に誘われてそれまでの時間の間俺がどんな気持ちでいるのか君は知っているか?
部屋で一人君が料理している音を無線で聞きながらすごくドキドキしているんだ。
そんな思いをしていると知ったら君は俺の事をなんて思うだろうか。


任務をいい理由に盗み聞きをしているなんてそんな俺を見損なうか?


そして俺は平然とした顔で君の部屋へと向かう。
時間、きっちりに。

インターホンを押すと君は変わらぬ笑顔を見せて俺を招き入れてくれる。
そんな君の笑顔を見るたびに俺の心はドクンっと鳴らす。

「どうかした?」

不思議そうに君は聞くが俺は何もないように「いや。」っと返事をする。
そして部屋に足を踏み入れる。
本当は何度ここへやってきても俺が緊張しているなど君は知らないだろう。


キッチンへ入ると君はいつもどおり俺をテーブルへと座らす。
目の前には沢山の料理が並んでいる。

「遠慮なく、どうぞ。」

その言葉を聞いて俺は箸を手に取り食べ始める。

「美味しい?」
「あぁ。」
「ほんと?」
「ほんとだ。」
「っそ。」

君は満足げに微笑むと同じように箸を手に取り食事を始める。
たわいのない話をしながら食事が進む。
君はいつも誰かのうわさ話をしては笑っている。
俺はただ君の話を聞いてうなずいているだけ。

本当は笑いたい。
君の言葉一つ一つに相槌をうち一緒に楽しみたい。
でも、俺にはそれが出来ない。
したくても言葉がうまく出てこない。



           
             そんな俺の気持ちなんて君は気づいていないだろうな。



              







―――かなめSide―――



「では、そろそろ帰る。」

そう言っていつもどおりあんたは帰り支度を始める。

私は「あっそ。」っといつもどおり返事をする。

本当はもう少し一緒にいたいのに。

「明日は?」

珍しく金曜日なのに日本にいるという事は宗介はきっと来週提出の古典の課題を仕上げるに違いない。

あたしはわかっていながらもそう言うそぶりを見せず聞く。

「明日?明日は古典の課題を仕上げようと思っているのだが。」

「っそ。」

あたしはやっぱり・・・っと思いつつも知らない振りして返事をした。

「一人で出来る?」

「わからん。」

宗介は複雑な表情をする。

「じゃ、一緒にする?」

「いいのか?」

一瞬宗介の表情が嬉しそうな顔になる。
本当に一瞬に。これはきっと本人にもわからないきっとあたしだけが見分けられる表情。
「いいわよ。あんたさえよかったらだけど。」

良いに決まっている。あたしにはなんのメリットもないけれど。
あたしは少しでもあんたと一緒にいたいから何かを口実にこうやってあんたと居る時間を作り出す。

そしてあんたは何も知らず返事をする。

「ではお願いする。」

「じゃ、明日昼前にでも来て。昼食食べてからやろ。」

あたしは心の中で笑いながら返事をした。

「休日なのに申し訳ない。」

「何言ってんだか。ほっとく方が気になるわよ。
 それに、ギリギリになって出来なかったから見せてくれとか言われるほうが迷惑だしね。」

あたしは意地悪っぽく言う。
本当はそんな事全然思ってもないのに。
宗介に少しでも頼ってもらえる事が嬉しいのに。

すると、まるで反省するように「すまん。」っと宗介は頭を下げる。

「何謝ってるの?いつもの事でしょ?」

そう、いつもの事だから謝って欲しくなんかない。
だって、これはあんたと一緒にいたいからあたしがこうなるように仕向けてるんだから。

「そうだが・・・・」

んもーーーー!!。ってイライラしてもしょうがない。
あたしが素直に一緒にやりたいってさえ言えればソースケこんな思いさせなくても住むんだから。
これも、素直になれないあたしが悪いんだから。

「そうだが・・・じゃない!いい?あたしは迷惑だなんて思ってないから。謝らなくてもいいの。わかった?」

これがあたしのめいいっぱいの素直な表現の仕方。

「じゃね。明日待ってるから。ちゃんと勉強道具持ってくるのよ。」
「了解した。」
「じゃ;あね、また明日。」
「あぁ。」

そう言ってソースケは部屋を出て行った。


明日もソースケと一緒にいれる。
そう思うと嬉しくてたまらない。
でも、素直に誘う事が出来たらどれだけいいか・・・・





               それを考えると素直になれない自分がもどかしい。








(Fin)









あとがき
もう、今回は本当にいっぱいいっぱいでいっぱいいっぱいでした。
すみません意味不明で。
一応、表の気持ちと裏の気持ちを表現して書いてみたんですけど
どうでしょうか?
でも、皆さんも思っていることとやってる事(言ってること)まったく逆
ってことないですか?そう、あまのじゃくです。
それを「ウソ/ホント」にあわせてみたんですけど・・・・
あってるかどうか不安です。











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