戸惑い



戸惑い       



街に明かりが灯る頃、かなめと恭子は雑踏の中にいた。

最近出来た手ごろな大きさの大型店。

信号を渡ると、角に目当てのその店が見えた。

ショウウインドーにデスプレイされたセンスのいい配置。

二人は何気なくその大きな窓の中を覗く。

適度な大きさのポスターが一枚。

秋の新作コートが側のベンチ上に置かれていた。

木の葉が何枚か散らばっていた。

控えめな明かりが落ち着いた印象を与えていた。

そのとき、かなめは見てしまった。

・・・・・・驚きは直ぐに口から出なかった。

そのポスターに写っている男性モデル。

髪は金髪・・・目は澄んだ海のような綺麗なブルー。

 

どうして?

髪の毛を黒に染め変え、瞳も黒にする。

顔にある傷を上手く隠すと誰かに似ている。

「恭子、ねえ・・何か気がつかない?」

「気がつくって・・・このコートの色好きだなあー」

「そうじゃなくって・・」

「このモデルいい男だねえ」

そう簡単に分からないように、そうしているはず。

でも・・・かなめは知ってしまった。

あのモデル絶対・・・宗介。

一体なにがあったの?

そう言えば、最近の宗介機嫌が悪くなかったか?

嫌なことを無理にさせられると考えると。

機嫌は悪くなる。

こんな格好宗介は嫌に決まっている。

だって、あいつは朴念仁。

まさか・・・まさか・。

どうなの宗介?

不思議なのは、そのモデルの均整のとれたスタイルだった。

でも、あのモデルは宗介のはず。



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