大切なあなたを想う




 あなたの目が好きだった。
 ただただまっすぐで、一途。
 決して揺らがない。

 そんなあなたが好きでした。

 あなたと離れてどのくらいたったのか。もうわからない。でも、今日も夢に見た。あなたと過ごした
日々のこと。





 かなめはベットの上でまどろんでいた。宗介と別れてレナードに連れてこられた邸宅。そのなかの一
室にいる。
 ゆっくりと頭をあげる。思い出すのは今日の夢。宗介と一緒に学校から帰ったこと。お昼ご飯、どう
しようもないトラブル。いまではそのすべてが遠い。
 涙がこぼれた。
「やだ、なんで泣いてるの」
 涙を止めようとすると余計に涙が溢れてくる。もう戻れない日々のことを思うと胸が苦しい。二度と
会わないと決めた彼に会いたい。
「我儘だよね」
 全部自分で決めたこと。彼が大切だったから別れたのだ。あの日々を守りたいからここに来た。
 それなのに、
「どうして寂しくて、会いたくてたまらないんだろう」
 まっすぐで正直な目で私を見て、そして少し笑ってほしい。「問題ない」って言ってほしい。一緒に
ごはんを食べてほしい。それから・・・・・・。

「あたしを迎えに来てほしい」






 自分で選んだことなのに。
 宗介を置いてきたのは彼が大切だったから。
 ただあたしのことなんか忘れて生きて欲しかったから。
 なんて我儘。ひどい女。
 結局のところ宗介がいないと駄目だったんだから。
 どんなときでも何とかしてやるって思ってた。でも今回はさすがに辛い。どうすればいいのかわ
からない。
 でも、待ってるだけで本当にいいの? 不幸に浸ってて何になるの? 私はそれでいいの?

 いいわけがない。それでは駄目なのだ。願うことは大切だけどそれだけじゃ何にもならない。行動す
ること。それが千鳥かなめ。

 顔を上げて窓による。カーテン越しに柔らかい光がかなめを包み込む。そう。今は考えよう。どうす
ればいいのかを。



 
                   
 目を覚ます。久しぶりに夢を見たような気がする。
 そう思って宗介は起きる。
 見つめるものはただ一つ。
 大切な人。
 そのために今日も戦い続ける。つらくとも悲しくても君の笑顔のために。
 その瞳は前へと向けられる。













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