忘れる事はない今も過去もこれからも

      信じる者だけが救われるの?馬鹿にしてる


















  RED...[em]  



















  轟く轟音。

  絹を裂いたような叫び声。

  体を失くした戦士達の泣き声。

  其処に或る仲間の命

  唯、それを護る為だけに銃をとった



  撃ち殺したのはまだ小さな少女

  涙を流しながら「包み」を抱えて走ってくる少女――













瞬間、目を開ける。

額を脂汗が伝った。



「もう あれから・・・そんなに経つのか。」



ベッドから起き上がる。

ブラインド越しに光が漏れていた。とても眩しい。

額の汗を拭ってブラインドを上げ窓を開けた。

冷たい風が注ぎ込んだ。

目を細めて通りを見る。

其処にはコートを着込んだ人々が道を急いでいた。



時間は――ああそろそろ用意を始めなければ。



顔を洗う。冷たい水が心地よい。

それから鏡を見て自分の顔をまじまじと見た。

いつもとかわらない顔があった。

唯の男子高校生に見える。

きっと他人にもそう見えるのだろう。

誰も自分の事を傭兵だとは思わない。



「思うわけが無い」



そう言ってからシャツを着てガクランを羽織る。

大き目のタンブラーに牛乳を並々と注ぎそれを飲んだ。

カロリーメイトの包みをあけ口に押し込む。

機械的にそれを胃に流し込むと鞄を掴み千鳥の家に向かう。





玄関を出るとき足元に何かが落ちているのに気付いた。



――写真だ。



セピアに色づいている少し角が焦げた古ぼけた写真。



ああ、思い出した。とても懐かしい。

何処から落ちたのだろう?

周りを見渡す。

少し考えても心当たりは無かった。

訝しげに思いながら其の写真をポケットに入れた。

懐古趣味でもないのだが何故かそうしたかった。



階段を下りる。

寒風が吹きぬけるとやはり極地を駆け抜けたことがある身とはいえ身震いしてしまう。

ふっ、と笑うと息が白くなった。



乾燥した空気

湿った吐息

身近な化学反応はそれを白く。





同じ白さの結晶が空から降り注ぐ。

初めは躊躇いがちに

しかし 見る間にそれは勢いを増す





「ああ、雪か」



めずらしい。

此処は暖かい気候なのに。







目を瞑る。







何故こんなにも罪深いのか。

雪のせいだろうか、すこし感傷的になってしまう。



ポケットから先程の写真を取り出した。

写真の中の無愛想な自分に問う。



――センチメンタリズムなどお前は考えられなかったよな。



写真の中のカシムは何も表情は変えずに只、正面を向いている。



――もし、今だったらあの状況で撃てたのだろうか。



何も変わらない顔が見つめ返す。



あんな夢を見るのは初めてだ。

何も感じてはいなかった。

まったく自然に、

そう息を吸い吐くのと同様に、

俺は銃口を向け引き金を引くんだ。



なぁ そのはずだろう?















写真は何も語らない。

只の陰画を印画紙に焼き付けた2次元の物体。

其処には感情も何も無い。

感光材料面に写し取った物体の映像をそのまま転写しただけの無機物。









古ぼけた写真に雪が舞い落ちてしみを作った。













階段を下りてくる音がした。

いつもの通り

変わらない日々が幕を開けるんだろう。





――きっと俺は今も昔通りに引き金を引く。





半分のセンチメンタリズムと半分のラショナリズムで。

それはきっと・・いや確実に「天使」に依るのだろうけれど





黒髪が揺れた。

















「お早う、千鳥」





































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くせぇ、意味不明です。ショートショートってことでどぞ。

ああ、写真に写ってるのはカシムと其の仲間達です。

決して単独ポートレイトじゃあないです。

そんなの気持ち悪(ry

カシムは萌えです。

最初の2行はDir en grey/VULGAR 「RED...[em]」からの引用です。



2003/12/16  ギン










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