「ソースケー♪」
リビングのソファーに座ってASの雑誌を読んでいた宗介の元に、エプロンを付けたかなめが軽やかなステップでやってくる。
「はいコレ。」
「………今度はなんだ。」
目の前に置かれたのは美味しそうに焼けたチーズケーキだった。
「チーズケーキよ。初めて作ったわりには上手に出来てるでしょ?」
「ああ、そうだな。食べてもいいのか?」
「もちろん!今切ってあげるね。」
と、一度キッチンに戻ってナイフとフォーク、取り皿を持ってきて切り分ける。
「うん、おいしー♪」
「うまい。」
味見がてらかなめも一緒に食べる。思っていたよりも上手に出来たらしく、かなり上機嫌のようだ。
「おいしかった?」
「ああ。」
「ふっふー。また食べたい?」
「そうだな。」
「んじゃまた作ったげる。」
宗介の賛辞に更に機嫌をよくするかなめ。
「でもその前にまた違うの作りたいなぁ。あ、残りのそれは全部食べてもいいからね。」
そう言い残し、キッチンの方の後片付けを始める。
かなめがお菓子作りをするようになってからもうどのくらい経つだろうか。
料理上手なかなめはもちろんお菓子も作りも上手なのだが、宗介が美味しいと言う度に嬉しくて、また新しいものにチャレンジするようになってしまった。
「………やれやれ。」
目の前のチーズケーキもたしかに美味しい。もしかしたらそこらで買ってくるよりずっと美味しいだろう。
が、いくらなんでもこの量には宗介も参ってしまう。
それでも残すわけにはいかない。
一度さすがに食べきれなくて残そうとした時、かなめがひどく悲しい顔をしたのだ。
明日また食べるといっても聞かない。
残すわけにはいかないのだ。
「今日の夜もジョギングに出るか…。」
「ソースケ?なんか言った?」
「いや、なんでもない。」
さすがの宗介もウエストまわりが気にしだした今日この頃。
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