『カレーライスと中華料理』
人間誰しも、毎日続け手入れはそれなりにうまくなるもので…。
すでにうまいと言われているかなめの料理にもさらに磨きがかかる。
「ソースケ。今日も夕飯食べていくでしょ。買い出し付き合って。」
すっかりお馴染みになった二人の夕食会。
もう当たり前の日常と言ってもいいだろう。そしてそれは今日も行われる。
「了解した。」
「なにか食べたいものでもある?」
「………そうだな。カレーがいい。」
「またぁ?」
「また…と言われても……ここ最近食べていないと思うのだが…。」
たしかにそれは合っていた。ここ一ヶ月ほどカレーは夕飯に出ていない。
宗介の言うとおりなのだが、かなめはまたと言う。
「……あんたが食べたいってリクエストする中で一番出る確率の高い料理。」
「むぅ…?」
二人の夕食会が当たり前になる以前から、宗介はよくカレーを注文していた。
自分の出す食事をおつもおいしいととは言ってくれる。
中でも特に好きな料理があるというのは素直に嬉しい。
しかし……。
「もう何十回も作ったおかげですっかり得意料理のひとつになっちゃったわよ。」
無理もないだろう。特にこだわって作っているわけではない。ごく普通に作っている。
仮にこれが別の料理で、たまに少し手を加えて出したとしても、宗介は気が付かないだろう。
しかしこれがカレーだったら違う。いつもと違うとすぐ気が付くのだ。
つまりはそれだけ好きなのだとも言える。
「ま…いいわ。最近食べてないのも事実だし。あたしも食べたいし…
今日はシーフードカレーにしようかな…。」
「……まかせる。」
作ってもらえる以上…いくら聞かれたからとは言え、強気に出れないのもまた事実。
かなめもそれは充分理解しているので、結局そのリクエストに応えることにした。
そして数ヶ月後。
いつも通りの帰り道。
そしてこれからいつも通りの夕食会。
「んー。今日の夕飯はなににしようかなぁ。」
「酢豚がいい。」
「へ?」
「だから酢豚だ。君は食べたくないか?」
「いや、そんなんじゃないけど…。」
「では頼む。」
ここ最近…宗介のリクエストは急激に増えた。なにがきっかけかはわからない。
とにかく和・洋・中問わず…様々なものを注文してくるようになったのだ。
「どうした?材料も買って帰るのだろう?」
「う、うん。」
いろいろなものを作れるのは料理好きのかなめとしては嬉しいことだし、作りがいもあっていい。
それでも、今まで作ったことがないものまで頼まれた時には苦労した。
苦労したかいもあって宗介からの賞賛の言葉もいつも以上に嬉しくなるのもまた事実。
以前に作ったボルシチはとにかく評判が良かった。これも宗介からのリクエストだったのだが。
そしてここ最近のリクエストは中華料理が多い。特に宗介が好む料理だったのだろうか。
すでに何回か作ったエビチリも…この前作った時なんかは少し辛いとケチまでつけてくる始末だ。
中華料理は素揚げしたりと、普通に作っても和風や洋風に比べると手間がかかる。
かなめもそれを料理するのはイヤではないのだが……。
「コイツ…最近舌が肥えてきたわね……。」
「なにか言ったか?」
「別に。」
「……?」
ケチがつくのは中華料理の時が多く、そう思うと中華料理はなんとなく苦手だと思うかなめでした。
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