第二話・宗介の部屋


「ふえ〜、ここが宗介の家?立派だね〜」

宗介とかなめが立っている前には立派な門構えの建物があった。

「いや、違う。俺はここに居候になっているだけだ。」

「え?そうなの?」

とかなめが言うと同時に、門の脇の小さな戸から女の人が顔を出した。

「あら、宗介さん、お帰りなさい。」

「あ、お蓮さん、どうも遅くなって申し訳ない。」

そこへかなめが宗介に聞いてくる。ひそひそと。

「宗介、宗介、この人誰?もしかして、宗介のお嫁さん?」

「な、な、そそ、そうではない。この道場の主のお方の奥様だ。」

「道場?」

「ああ。俺はここで剣を教えている師範代なのだ。」

「あの〜、宗介さん?」

今度は蓮のほうから話しかけられた。

「はっ、なんでしょう?」

「そのお方は誰ですか?お見かけしないお顔ですが…」

「ああ、こいつは私が帰ってくるときに野原で出会ったようオオウ!!?」

!!?…何だ今のは?いきなり横からもの凄い速さで白いものが…。

一瞬紙のようにも見えたが…、まさか紙がこのような威力を発揮するとは思えん。

いや、しかし、師範代であるこの俺が全く反応できなかったなど…。

さすがは妖狐ということなのだろうか…。そしてあの武器は一体…?

「あの、わたし、道に迷っていた所を助けてもらったんです。」

「あらまあ。あなた、お名前はなんていうの?」

「わたし、かなめっていいます」

「じゃあ、かなめさん、今日はもう遅いからここで泊まっていきなさい。」

「はい! ほら、宗介も行くよー」

「う、うむ…」

未だに衝撃から抜け出せない宗介を引きずってかなめは道場の中へ入っていった。


「あ、ところで宗介さん」

建物の中の廊下を歩いているとき、蓮が尋ねてきた。

「はい、なんでしょう」

「夕飯はどうしますか?皆さん食べてしまいましたが、まだ残ってますよ。」

「いや、今日はもう疲れたので寝ることにします。」

「かなめさんは?」

「わたしも、もう寝まーす。」

蓮はちょっと微笑んで言う。

「じゃあ、宗介さん、お布団を一つ部屋へ持っていってください」

「わかりました。」


宗介は敷布団、かなめは掛け布団を持って二階にある宗介の部屋へ上がった。

宗介の部屋は畳に机など最低限の家具しかない質素な部屋であった。

持ってきた蝋燭を机に置くと光が部屋に広がる。

宗介は刀を置くと、部屋の押入れから布団を出し、床に広げる。

かなめも持ってきた布団を広げてその上に転がる。

「わあ、久しぶりの布団だー!」

「あんまり騒ぐなよ。」

「はーい…」

宗介は蝋燭の火を消す。部屋はほのかに月に照らされるだけになる。

ふとかなめのほうを見るとすでに寝息を立てていた。

「…俺も寝るか…」

珍しく独り言など言ってしまったなと思いつつ、宗介は布団にもぐりこんだ。







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