『生きている理由』










− 宗介編 −





当たり前のように人は生まれて、当たり前のように育って……当たり前のように学校に通う……………。

これが日常……これが、普通。

日本での生活にはまだ慣れてはいないが、このくらいならわかっている。

これが日本の、ごく普通の暮らし方。

だが、ある時ふと思った。

人は…自分の意志で生まれ育ち、学校に通っているのではないのかと……。

ただただ決められた道を歩んでいるだけではないのだろうか…と。

それでも、いつかは自分で決めた自分の道を歩んでいくのだろう。





では俺の場合はどうだろうか。





同じ日本人でも…育った場所が違う。

とても普通とは言えない生活をしてきた。

正確に言えば…そうしなければ生きられなかったのだが。

だが…今は自分の意志を持ってもいいのだろうかと最近思うようになった。

たしかに今も生きるために戦いに身を置いている。

一度歩んできたその人生を180度変えることは難しい。










同僚になぜ戦っているのか…今の生活に身を置いているのか聞いたことがある。

なんでも金が必要だとか言っていた。

金目当て……私利私欲のように聞こえるかもしれないが…俺に言わせればそんなものでも
『目的』とも呼べるものがある事が羨ましかった。





俺にはなにもない……………。















そんな時、特別な任務が与えられた。

それが今現在の任務だ。

俺は今日本にいる。

自分の生まれたであろう国…。

思い出などなにもない……だからなつかしいとは思わなかった。





今は……………?





俺の中でなにかが変わったのだろう。

こんな事を考えているのだから。

『普通』の暮らしをしてみて……自分がなんのために戦っているのかを少し考えた。

未だ『目的』のようなものはないが……いや、そうでもないか。










日本で『普通』の暮らしをしてきて…さすがの俺も変わった。

『戦い』のない、『平和』な世界……そこでの人々の暮らし…………。

人を想う心……親しむ心……………。

今までの俺にはなかったものだ。




















たった一人に対してかもしれない。

俺にとっての『戦う』理由があるとしたら。





彼女の『幸せ』を……彼女が生きていく『世界』を………………。





守っていきたい。





そのために俺は戦い……生きていく…………………………。










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