深い訳

 

 

宗介は珍しく気が焦っていた。ドアをノックし中に入る。

「クルツが消えたと聞きました。それはいつからなのですか」

テッサはパソコンの画面を見ていた。

「少し待って。今お話します」と毅然とした声で言った。 

側にマデューカス中佐がいた。

「相良軍曹、落ち着きたまえ」

連絡が取れなくなってから五日が過ぎていた。

一体何があったのだというのだろうか。

不安という黒い影が宗介の心を締め付けていた。

「よく聞いてください。クルツさんを少しでも早く助け出さないと、命が危ないのです」

「え?」

「この画面をみて!」とテッサは声を上げた。

古い建物のようだった。ドアが開いていた。暗い部屋、誰かが寝ていた。

手足が縛られていた。

顔を見ると普通ではない顔色。目のまわりが黒くなっていた。アザがいくつかあった。

目の焦点が合わないのか、周りをキョロキョロと見ている。

がたがたと振るえ、怯えているようだった。

「クルツ・・・」

「今から一時間前にこの映像が送られてきました」

宗介はじっとクルツを見ている。

「驚かないで・・・これは最初からの計画なのです」

「え?」

「クルツが潜入し、囚われの身になる。その事が目的でこの基地に潜り込ませたのです」

「なぜ・・」

「敵の相手を知るためです。その目的が一時間前に達成したのです」

「自分が助け出す。これも計画なのですか?」

「ええ、計画しました。クルツは初めからあなたを信頼し救質されると信じてこの任務についたのです」

クルツの命は今、自分に託されている。

「クルツ待っていろ。今助けにいく」と心の中で呟いた。

 

 

 



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