『早起きした休日』










ある月夜の事。

あたしは目を覚ました。

気持ち良く眠っていたはずなのに……突然目が覚めちゃった。



「………変なの。お水でも飲んでこよ…。」



キッチンまで行って、コップ一杯の水を一気に飲む。

なんていうか、余計に目がさえちゃった感じ。

まあ明日は日曜日だから寝坊してもいいんだけど……。



「あれ?」



すぐには寝付けないとわかっていても、こんな真夜中にする事なんてないから寝室に戻ろうとして気が付く。

リビングのソファーの人影に。










一人暮らしをしていたあたしの部屋に…今じゃ当たり前になった存在。

アイツにもちゃんと住む家はあるのに…いつの間にか一緒に寝起きをともにするようになって。

と言っても、部屋は別々だけどね。



「……………眠ってる……。」



ソファーに横になってこれまたえらく気持ちよさそうに眠っちゃって…。

毛布は持ってきているみたいだけど、いくらなんでもこれじゃ風邪ひいちゃうんじゃないかしら。

でもあたしは起こさなかった。

逆に自分も毛布だけを持ってリビングに来る。

あまりにも寒すぎるから暖房を一番弱い設定で入れる。

そのままソファーに寄りかかるように座った。





初めて見るアイツの横顔。

正確には何度も見たことはあるけど、この角度は初めて。

なんか不思議な感じ。



「なんでこんなところで眠ってたんだろ……。」



たぶん眠るつもりはなかたんだろうな。

きっとあたしと同じで目が覚めちゃって、ここに来て…そしたらいつの間にか眠っちゃって…。

うん、きっとそうに違いない。





どうせ夜更かしするなら二人一緒の方が楽しかったかな…。

他愛ない話してたっていいんだもん。

ねえ……。

あんた一人気持ちよさそうに眠っちゃってずるいよ……………。




















目を開けたら見慣れない天井があった。

彼女の部屋の天井に慣れるまでずいぶんと時間がかかったが、それでもこの天井には見覚えがなかった。



「ああ、そうか……。」



夜中に目が覚めてしまったからリビングに来たんだった。

そのまま眠ってしまったのか…。

我ながら情けない。

さすがに外はもう明るく、壁の時計を見ると丁度六時だった。

一度目が覚めてしまったとはいえ、二度寝するほどでもない。

だから着替えるため自分の部屋に戻ろうと起きあがったところで驚愕する。



「な、なぜこんなところに……。」



まさか彼女がいるとは思わなかった。

俺が立ち上がると同時にソファーが大きく揺れる……が、起きる気配はない。

まだ早いし…なにより今日は休みだ。

今日はゆっくり寝かせておいてやろう…と思う。

ソファーに寄りかかっている彼女は毛布に身をくるんでいる。



「部屋が暖かいな…。」



恐らく彼女が暖房を付けたのだろう。

この分なら風邪をひくことはない。

俺は彼女が起きないようにその場を離れた。










服に着替えてから再びリビングに戻る。

彼女は相変わらず気持ちよさそうに眠っている。

その彼女の寝顔を見て、たまには自分が朝食を作ってみるか…などとめずらしい考えも浮かんでくる。

最近彼女は簡単な料理を教えてくれる。

俺が覚えたのはまだごくわずかで、しかも確実に失敗しないものもまたその中では一握りなのだが…。



「……………トーストと目玉焼きでもあればなんとかなるか…?あとコーヒーも……。」



キッチンに立って、しばらく逡巡したのちに行動に出た。

コーヒーの準備をしてから暖房を消し、窓を開けた。



「かなめ、朝だぞ。」










冷たい風と、朝の眩しい光で…彼女の目はすぐ開かれる。









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