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秋も程近い日のことだった。 俺は急に吹いた突風によって木に引っかかり、生きるか死ぬかの瀬戸際にいた。 戦場で見ず知らずの男に助けを求めるというのは、愚かな選択だ。 だが、このときはやむを得なかったのだ。 「風にとばされた。助けてくれ」 「あぁ?」 そして・・・それが奴との出会いだった。 |
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だが、奴…ガウルンは俺を見捨てた。 まぁ、良くあることだ。 戦場では他人に世話する余裕がないのは当たり前だし、なにより敵の罠という可能性もあるからな。 仕方がない。 |
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こうして俺は一晩中木にぶらさがっていた。 無論助けはこなかった。少佐もこのときばかりは頼りにならない。 ボルシチ研究とやらに没頭していて、俺の行方など気にもしなかったのだろう。 しかし、本当に寒かったな… |
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朝になった。 よくわからないが、ガウルンが戦車に乗ってやってきた。 届かないから戦車を使って助けてくれるのだろうと、俺は思った。 全く、甘かったな。 |
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ガウルンは、挨拶がてら俺を木ごと吹っ飛ばしたのだ。 さしもの俺もこの残酷さにはあいた口が塞がらなかった。 |
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「その程度ですんだの?」 「その程度、だと。 この傷はそのときのものだ。非常に痛かったぞ」 「・・・・・・」 「とにかく、そういうことだ。ガウルンは、そういうおぞましい男なのだ。 二度と復活しないことを祈ろう」 「・・・そうね」 end |
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