『 秋を探しに行こう 』










暑かった夏も終わり、残暑が続く中、夜にも鳴れば随分と涼しくなってきた頃…。

今日も宗介はかなめに招かれ夕ごはんを食べに来ていた。



「馳走になった。感謝する。」

「はいはい、どーいたしまして。」



素直に美味しいと言ってくれるようになったのはいいものの、
食事の終わりの挨拶がどうもまだ普通人離れしている。

どうやら当分の目標は彼に『 ごちそうさま 』を言わせることだなとかなめは思った。

食後のコーヒーを淹れて再び宗介の前へ。今まではアイスコーヒーだったが、
今日はめずらしくホットコーヒーに。理由は雨が降ったせいで涼しいを通り越して肌寒いからだ。



「今日は雨のせいで寒いけどさ、だいぶ暑さも和らいできたよね。」

「そうだな。先日秋の虫とやらが鳴いているのを聞いたが。」

「ほんと? もうすぐ秋なんだねぇ。」

「そのようだ。」



宗介が東京に来てからだいぶ経った今、それなりに他愛のない話も出来るようになった。

それもかなめの前でだけ限定のようだが、それでもいい傾向である。



「今年はなんの秋にしようかなぁ。」

「なんの秋?」

「ああ…あのね、秋の夜長って言ってね…これからの季節夜がちょっと長くなるからとか、
 気候的に過ごしやすくなるからって、いろんなことしましょーって意味で読書の秋とか…
 スポーツの秋とか…食欲の秋とか…そんな風に言われているの。」

「ふむ。」



宗介も日本では二度目の秋だ。

ようやく慣れ親しんだ日本の東京暮らしということでなにかしらに挑戦するのもいいのではないだろうか。



「君はどうするのだ?」

「えー、いろいろやってみたいとは思うんだけどね、大体食欲の秋になっちゃうかなぁ…なんて。」

「君らしいな。」

「……否定しないけどね。ソースケこそ、なにかしてみたいことないの?」

「む…?」



今説明されてすぐこれがしたいという宗介ではないのですぐ答えが返ってくるはずもない。

もっとも、それなりに本人は考えているのだがまったく思いつかないのが現状なのだ。



「…………………………散策の秋。」

「はい?」

「いや、たしかにもう一年以上日本にはいるが、ゆっくり歩いたりはしたことがないと思ってだな…。」

「散歩したいの?」

「む…いや、そういう意味では……いや、まあそんなようでもあるのだが……。」



宗介は日本では東京の、この街付近ぐらいしか知らない。

もちろんいくら秋だからといって任務が無くなるわけでもないので遠出が出来るわがないのだが…
ちょうどいい機会なのでいろいろ見て回るのもいいと…そう思ったのだ。

そこは口べたな宗介。

うまく説明は出来ていないようだ。

しかし……。



「ふーん、いいんじゃない。夕方にのんびりその辺散歩しても気候は気持ちいいだろうし。」



長い付き合いのかなめには、宗介がなにを言いたいのかなんとなくでもわかったようだ。



「そうか…良かったら一緒に行かないか?」

「……いいわよ。」






























さあなにが発見出来るかな?















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